将来的に自立した生活を目指すために障がい者グループホームへの入居を考えている方もいるでしょう。

「障がい者グループホームとは?」

「補助金の種類や給付額はいくらある?」

「補助金の募集時期はいつから?」

今回は、障がい者グループホームの補助金について詳しく解説していきます。

障がい者グループホームとは?

障がい者グループホームとは、将来的に自立を目指す障害をもつ方が少人数で共同生活を送る場所です。障害者総合支援法の障害福祉サービスとして定められています。

障がい者グループホームでは、食事や入浴、金銭管理など日常生活を送るうえで困難な場面に対する必要な支援を受けられるので、自分らしい生活を送ることが可能です。

また、地域社会との交流の場を積極的に設けることで、障害をもつ方の孤立を防止することで、将来の生活に対する不安を軽減する活動も行います。

平日は職場やデイケアなどに通う日中活動を行い、帰宅後は食事や入浴といった一般的な家庭生活と同様の日常です。

休日も利用者は障がい者グループホームの中で休息したり、施設スタッフと一緒に好きな場所へ遊びに出かけたりします。

障がい者グループホームには、専門知識を有したスタッフが常駐しており、1人ひとりに必要な支援計画を組みながら支援を行うので、利用者にとっては1人暮らしへの第一歩です。

障がい者グループホームの補助金の種類・給付額・募集時期は?

障がい者グループホームに入居を考えている方の中には、補助金の利用を検討する方もいるでしょう。補助金について知っておくと、入居者の負担額を減額できる場合も。

次は補助金の種類から募集時期、給付額について紹介します。

家賃助成(特定障害者給付)

家賃助成は特定障害者給付ともよばれ、障がい者総合支援法に基づいて支給される補助金です。障がい者グループホームを利用すると毎月の家賃も必要になります。家賃相場は約2~4万円程度です。

障がい者グループホームの利用者で、低所得または生活保護世帯の方を対象に家賃補助が行われます。自治体によって金額が異なるので確認しておきましょう。

利用者1人当たり月額1万円を上限に以下の補足給付が行われます。

  • 家賃が1万円未満の場合=実費
  • 家賃が1万円以上の場合=1万円

ただし、水道光熱費、日用品費、家賃以外の費用については対象ではありません。また、障がい者手帳や、障害年金の等級によって補助金の金額が左右されることはないので安心してください。

次に家賃助成の申し込み方法や注意点について解説します。

補助金の申し込み方法

補助金を利用する本人や家族が市区町村の窓口で、申込書に記入を行い、入居契約書など必要書類を提出します。初めて障害者グループホームに入居する場合は、入居手続きが終了したあとに申請しましょう。

障がい者総合支援法に基づき、地域に制限はなく、すべての自治体で補助金の申請が可能です。

また、補助金の申請が通ると、入居する障害者グループホームが代理で受け取る形になるので、本人には直接支給されません。

補助金の注意点

年に1回、負担上限月額と補助金の対象者の見直しが行われます。新規で補助金の申請が通ったとしても、毎年補助金の対象になるとは限りません

また、障がい者グループホームの家賃改定が行われた場合は、再度申請が必要になります。

補助金の募集時期について

障がい者グループホームの入居者が利用する補助金については、募集という形はとっておらず、多くの場合は施設スタッフを通して手続きを行います。

負担軽減措置

家賃助成のように補助金という形ではなく、現物給付とよばれる介護サービスや負担軽減措置といった以下のような制度もあります。

  • 障害福祉サービス
  • 高額障害福祉サービス等給付費
  • 医療型個別減免

1つずつ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

障害福祉サービス

障害福祉サービスには、以下の3種類の給付があります。

  • 介護給付・予防給付
  • 訓練等給付費
  • 地域相談支援給付

それぞれ順番に解説します。

介護給付・訓練等給付

介護給付とは、お金の給付ではなく、介護保険の保険給付または現物給付とよばれる介護サービスを指します。また、要介護1~5の方が対象です。

障害をもつ方で、食事や入浴、排せつなどの介護を必要とする方に対して、日常生活で必要な支援を受けることが可能です。また、日常生活や将来に対する相談や助言なども行われます。

訓練等給付とは、障害をもつ方で日常生活を送るために必要なリハビリテーションを行ったり、就労に必要な知識や能力を向上させるために訓練の機会を提供するサービスです。

それぞれ細分化されており、本人に適したサービスを受けられます。

介護給付と訓練等給付の種類は以下の通りです。

介護給付 居宅介護(ホームヘルプ) 自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行う。
重度訪問介護 重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する者であって常に介護を必要とする人に、自宅で、入浴、排せつ、食事の介護、外出時における移動支援等を総合的に行う。
同行援護 視覚障害により、移動に著しい困難を有する人が外出する時、必要な情報提供や介護を行う。
行動援護 自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援、外出支援を行う。
重度障害者等包括支援 介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行う。
短期入所(ショートステイ) 自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行う。
療養介護 医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、介護及び日常生活の世話を行う。
生活介護 常に介護を必要とする人に、昼間、入浴、排せつ、食事の介護等を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会を提供する。
施設入居支援 施設に入所する人に、夜間や休日、入浴、排せつ、食事の介護等を行う。
訓練等給付 共同生活援助(グループホーム) 夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談、入浴、排せつ、食事の介護、日常生活上の援助を行う。
自立訓練(機能訓練) 自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能の維持、向上のために必要な訓練を行う。
自立訓練(生活訓練) 自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、生活能力の維持、向上のために必要な支援、訓練を行う。
就労移行支援 一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う。
就労継続支援(A型=雇用型) 一般企業等での就労が困難な人に、雇用して就労する機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行う。
就労継続支援(B型) 一般企業等での就労が困難な人に、就労する機会を提供するとともに、能力等の向上のために必要な訓練を行う。

<出典:厚生労働省>

地域相談支援給付

障害のもつ方が地域の生活において、自立と定着するために地域相談支援給付という支援サービスを行います。また、自立した後も日常生活の中で起こる不安に対する相談や助言を行い、緊急時には本人の自宅へ訪問することも。

地域相談支援給付には以下の種類があります。

地域移行支援 住居の確保等、地域での生活に移行するための活動に関する相談、各障害福祉サービス事業所への同行支援等を行う。
地域定着支援 常時、連絡体制を確保し障害の特性に起因して生じた緊急事態等における相談、障害福祉サービス事業所等と連絡調整など、緊急時の各種支援を行う。

<出典:厚生労働省>

地域相談支援給付を利用する場合は、居住する自治体の相談窓口で手続きを行いましょう。

医療型個別減免

医療型個別減免では、療養介護を利用する場合に、医療費と食費の減免が適用されます。つまり、利用者負担額をさらに引き下げる制度です。20歳以上の利用者の場合は、各市町村にて本人の収入額が認定されないと適用されません。

また、20歳以上の方の対象所得区分は低所得1・2の方のみになります。

低所得1 収入が年間80万円までの利用者
低所得2 収入が年間80万円を超える利用者

ただし、20歳未満の方の場合はすべての所得区分が対象となるので、違いに注意しましょう。

高額障害福祉サービス等給付費

高額障害福祉サービス等給付費は、同じ世帯に障害福祉サービスの利用者が複数いる場合に、合算額が基準額の37,200円を上回る場合に世帯の負担を軽減する給付です。

償還払い方式とよばれる、先に支払った費用の一部を払い戻してもらう仕組みにより、世帯における利用者負担を月額負担上限額まで抑えられます。

簡単にいえば、基準額を超過した金額を還付してもらう仕組みです。

高額障害福祉サービス等給付費は、受給予定の障害者の方などから利用者負担額の支払いを証明する領収証を添付した支給申請書の提出を受け、市町村から支給が行われます。

以下の方が申し込み可能です。

種別 世帯の範囲
18歳以上の障害者(施設に入所する18、19歳を除く) 本人と配偶者
18歳未満の障害児(施設に入所する18、19歳を含む) 保護者が属する住民基本台帳における世帯

受給事例

高額障害福祉サービス等給付費を実際に受給した時のイメージがつきにくいと思うので、わかりやすく以下の表にまとめています。

支給額は、それぞれの利用者負担額から算定します。

利用者 A B
障害福祉サービス 障害福祉サービス
利用者負担額 37,200円 37,200円
利用負担額の合算額 74,400円
高額障害福祉サービス等給付費の基準額 37,200円
高額障害福祉サービス等給付費の支給額 18,600円 18,600円

<出典:厚生労働省>

新高額障害福祉サービス等給付費の対象者

平成30年4月より施行された、65歳以上の方を対象とした新高額障害福祉サービス等給付費の受給資格者は以下の通りです。

  • 65 歳に達する日前5年間(入院その他やむを得ない事由により介護保険相当障害福祉サービスに係る支給決定を受けていなかった期間を除く。)引き続き介護保険相当障害福祉サービスに係る支給決定を受けていたこと
  • 障がい者及び当該障害者と同一の世帯に属するその配偶者が、当該障がい者が 65 歳に達する日の前日の属する年度(当該障がい者が 65 歳に達する日の前日の属する月が4月から6月までの場合にあっては、前年度)分の地方税法の規定による市町村民税を課されない者(市町村の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者を含むものとし、当該市町村民税の賦課期日において同法の施行地に住所を有しない者を除く。)であったこと又は障がい者及び当該障がい者と同一の世帯に属するその配偶者が、当該障害者が 65 歳に達する日の前日の属する月において被保護者若しくは要保護者であって、境界層該当者として負担軽減措置を受けていたこ
  • 65 歳に達する日の前日において障害支援区分(障害程度区分)が区分2以上であること。
  • 65 歳に達するまでに介護保険法による保険給付を受けていないこと

<出典:厚生労働省>

その他

生活保護への移行を防ぐために、食費や光熱費など自己負担額の上限を引き下げる措置もあります。生活保護の対象額にならない程度まで、最低25,000円が手元に残るように支給する補足給付です。

たとえば、20歳以上の方の場合は、個別に本人の収入から負担限度額を算出し、手元に25,000円が残るように53,500円を基準額に設定されます。

つまり、入居施設ごとに53,500円を限度に食費などの自己負担額が設定されますが、低所得の方に25,000円が残るように給付する措置です。

20歳未満の方の場合は、 子どもを養育する一般の世帯において必要とされる費用の負担となるように補足給付を行います。

障がい者グループホームの補助金や減免措置を活用しよう!

今回は、障がい者グループホームで利用できる補助金や減免措置について紹介しました。

障がい者グループホームで利用できる制度は以下の通りです。

  • 家賃助成(特定障害者給付)
  • 介護給付
  • 訓練等給付
  • 地域相談支援給付
  • 医療型個別減免
  • 高額障害福祉サービス等給付費
  • 新高額障害福祉サービス等給付費
  • 食費等実費負担の減免処置

最初はこれらの制度の理解することが難しいかもしれませんが、迷ったらまずは自治体や市町村の窓口で相談することがおすすめです。

これから障がい者グループホームへ入居を考えている方も、本記事で紹介した補助金や減免措置の対象の可能性もあるかもしれないので、ぜひ国の助成制度を活用しましょう。