障がい者グループホームは、何歳から何歳まで利用可能なのか曖昧な方も少なくはありません。施設への入居可能年齢を知りたい方は多いでしょう。

また、障害福祉サービスと介護福祉サービスについて以下のような疑問を抱くことも。

「障害福祉サービスと介護福祉サービスの違いは?」

「障がい者グループホームを利用中でもサービスを受けられる?」

本記事では、障がい者グループホームの入居可能年齢から、障害福祉サービスと介護福祉サービスについて解説します。

障がい者グループホームの入居可能年齢は?何歳まで入居可能?

障がい者グループホームは、障がい者総合支援法に基づき、以下の方が対象です。

  • 身体障がい者
  • 知的障がい者
  • 精神障がい者(発達障がい者も含む)
  • 難病患者

原則18歳以上で、上記の障害を持つ方が入居可能です。障がい者グループホームを利用する場合は、施設スタッフの人数配置基準が変わるため、配置障害支援区分の判定を受けなければなりません。

また、15歳以上18歳未満の障害児も、児童相談所による、障がい者グループホームへの入居の必要性が認定された場合において利用できます。

さらに、身体障がい者の方の場合は、65歳の誕生日を迎えるまでに、障害福祉サービスの利用経験がある方が限定です。障がい者グループホームのサービスを受ける場合に、3年ごとの更新が必要になります。

障害福祉サービスの利用年齢には制限はありませんが、65歳以上の方は基本的に介護福祉サービスの利用が可能です。つまり、介護保険制度の対象者になります。

介護保険制度は、障がい者グループホームにおいて認知症の方のみ利用可能です。65歳以上の方で認知症ではない場合は、引き続き、障がい者グループホームで生活ができます。

他にも、65歳以上で身体障害と精神障害の両方を持つ方の場合においても、入居が可能です。

これから障がい者グループホームへの入居を考えているなら、事前に居住地域の市役所で入居対象であるかどうか確認しておきましょう。

障害福祉サービスと介護福祉サービス

障害福祉サービスと介護福祉サービスの違いや、具体的にどんなサービスが受けられるのか気になる方は多いでしょう。

それぞれ詳しく解説します。

障害福祉サービス

障がい者総合支援法の障害福祉サービスにおいて、利用者本人の収入に応じて、サービスの負担額を減らす応能負担が適用されます。たとえば、生活保護もしくは低所得世帯に当てはまる方の場合は、負担額が0円になることも。

サービスを利用する際に、費用を気にする方も少なくはありません。利用者負担と呼ばれる制度の要件に当てはまれば、入居施設の家賃や生活費の自己負担額が減額できます。

また、障害福祉サービスには、主に将来的に自立した生活を送るために必要な訓練の支援が受けられる訓練等給付と、日常生活で介護が必要な場合に介護給付の2種類に分けられます。

訓練等給付 介護給付
就労支援

就労移行支援

訪問 居宅介護(ホームヘルプ)
就労定着支援 重度訪問介護
就労継続支援A型・B型 同行援護
自立支援 機能訓練 行動援護
生活訓練

重度障害等包括支援

居住訓練 自立生活援助 日中活動 療養介護
生活介護
共同生活援助
(障がい者グループホーム)

短期入所(ショートステイ)

施設 施設入所支援

<出典:厚生労働省>

障害には個人差があるため、ひとくくりに同じ障害であっても、1人ひとり必要とする支援は別です。障害福祉サービスでは、障害の程度や事情を踏まえて、利用者本人に適したサービスを組み合わせることができます。

また、障害福祉サービスを利用する際に、障害福祉サービス受給者証を居住地域の自治体で交付しなければなりません。その代わりに、障がい者手帳を所持しなくても、障害福祉サービス受給者証があれば、サービスが受けられます。

障害福祉サービス受給者証には、利用者本人の氏名や住所などが記載されており、障がい者手帳のように障害の種類では分けられていません。

利用期限が設けられているため、期限が切れる前に更新する必要があります。更新時期が近づくと、自治体から書類が送付されるので、申請しておきましょう。

障害福祉サービスの対象者

障害福祉サービスでは、障がい者手帳を持つ方に限定することなく、支援の程度によってサービスの対象者に認定されます。

18歳以上で、以下の条件に当てはまる方

  • 身体障がい者
  • 知的障がい者
  • 精神障がい者(発達障害も含む)
  • 難病患者

<出典:厚生労働省>

18歳未満の障害児の場合は、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害を持つ児童を差します。

介護福祉サービス

介護福祉サービスでは、利用したサービスに応じて費用負担する応益負担が適用されています。しかし、65歳以上に達すると、利用者本人の自己負担額が増える問題も。

日本に在住する方は40歳を迎えると、被保険者として介護保険に加入しなければなりません。介護保険を40歳から64歳まで納付すると、65歳以降からはいつでも介護福祉サービスが受けられます。

サービスを受けるには、市区町村から要介護認定を受けることが条件です。また、40歳から64歳までの方で、介護保険が適用される特定疾病による介護が必要になれば、サービスを利用できることを覚えておきましょう。

さらに、介護福祉サービスには、居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービスに分類されます。

概要は以下のとおりです。

居宅サービス

◎要介護・要支援者が現在の居宅に住みながら提供を受けられる介護サービス。
◎大きく分けて訪問サービス・通所サービス・短期入所サービスに分類。

施設サービス ◎特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院に入所する要介護状態の高齢者に対して提供されるサービス。
◎特別養護老人ホームでは主に食事・排せつ・入浴などの介護が提供。
◎介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院では、医学管理下における介護やリハビリ、療養上の管理や看護などのサービスを提供。
地域密着型サービス ◎高齢者が地域の事業所で市区町村の要介護者・要支援者に提供されるサービス。
◎主に訪問・通所型、認知症対応型、施設・特定施設型サービスを提供。

利用者本人もしくは家族の希望に応じて、上記のサービスを利用できます。サービスの数が多いので、迷う場合は自治体で相談してみましょう。

介護保険の対象者

介護保険の対象者は以下のとおりです。

  • 満40歳以上の方で、介護保険の被保険者
  • 65歳以上の方(第1号被保険者)
  • 40~64歳まで医療保険に加入している方(第2号被保険者)

具体的に、65歳以上の第1号被保険者で介護保険が適用される方は、寝たきり・認知症で要介護状態もしくは日常生活で要支援状態であることが条件です。

また、40~64歳の第2号被保険者の方の場合は、特定疾病による要介護状態もしくは要支援状態でなければなりません。

特定疾病は、2021年12月現在では以下の疾病が対象です。

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

<出典:厚生労働省>

介護保険とは別に、障害福祉サービスの介護給付や予防給付を利用する際は、要介護・要支援認定を受ける必要があります。

障がい者の65歳問題とは?

64歳までに障害福祉サービスを利用していた方は65歳になると、基本的に介護福祉サービスを優先的な利用が勧められています。

よくある事例でいうと、障がい者グループホームを利用していた方が、介護福祉サービスの訪問看護を利用することです。さらに、障がい者グループホームを退去しなければならないうえに、応益負担による自己負担額が増額することが懸念されていることから、障がい者の65歳問題と呼ばれています。

今までは、受給していた障害福祉サービスを継続できる市区町村もありましたが、ほとんどの場合は費用負担が増加したり、サービスを受けられる回数の減少が問題でした。

2018年4月の介護保険法と障がい者総合支援法の改正により、障がい者の65歳問題の救済策として以下のサービスが利用可能になりました。

  • 共生型サービス
  • 新高額障がい福祉サービス等給付費

それぞれ1つずつ解説します。

共生型サービス

共生型サービスでは、今まで障害福祉サービスを受けていた事業所からサービスの内容を変更することなく、介護福祉サービスを同時に提供できるようになりました。

また、ホームヘルプサービス・デイサービス・ショートステイなどの居宅サービスが共生型サービスの対象に。障害福祉サービスと介護福祉サービスの類似するサービスを提供する前提で、同時提供が可能なサービスは決められています。

具体例でいうと、以下のとおりです。それぞれ類似していることが分かります。

障害福祉サービス 介護福祉サービス
ホームヘルプ(居宅介護・重度訪問介護) ホームヘルプ(訪問介護)
デイサービス(生活介護) デイサービス(通所介護)
ショートステイ(短期入所) ショートステイ(短期入所生活介護)

<出典:厚生労働省>

新高額障害福祉サービス等給付費制度

障害福祉サービスから介護福祉サービスに切り替えたことで、生活保護・低所得世帯に属する方の費用負担を軽減させるために、費用の払い戻しを受けられる新高額障害福祉サービス等給付費制度があります。

サービスの対象者は以下のとおりです。

  • 65歳に達するまでの5年間、障がい者福祉サービスを受給している方
  • 障がい者福祉サービスの居宅介護、重度訪問介護、短期入所、生活介護、介護保険サービスの訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護を利用している方
  • 生活保護・低所得世帯に該当する方
  • 障害支援区分が2以上の方
  • 65歳に達するまでに介護保険サービスを受給していない方

<出典:厚生労働省> 

上記の条件を満たせば、同制度で費用の心配なく、サービスが受けられます。

新高額障害福祉サービス等給付費制度の対象となる福祉サービス

新高額障害福祉サービス等給付費制度の対象となる障害福祉サービスと介護福祉サービスは、以下のとおりです。

障害福祉サービス

介護福祉サービス
居宅介護 訪問介護
重度訪問介護 通所介護
生活介護 短期入所生活介護
短期入所(ショートステイ) 地域密着型通所介護
小規模多機能型居宅介護

<出典:厚生労働省>

障がい者グループホームの利用方法

障がい者グループホームの利用方法は、まずは居住地域の市区町村で利用する旨を伝えましょう。もしくは、担当の相談支援専門員に相談すると、申請に必要な書類を用意してもらえるので、スムーズです。

また、障害福祉サービス受給者証を持っているだけでは、自動的にサービスは受給されません。希望する事業所と契約する必要があります。

障がい者グループホームは、障害福祉サービスのなかでは訓練等給付に該当するので、サービスの利用申請から、サービス等利用計画作成、市区町村からの支給決定に加え、障害支援区分の判定しなければなりません。手続きが完了するまで、最大1か月かかることを覚えておきましょう。

受給者証を受け取ったら、複数の事業所を見学させてもらい、入所後に受けられるサービスや、施設スタッフと利用者の方の雰囲気も確認しておくといいでしょう。

まとめ

本記事では、障がい者グループホームの入居可能年齢から障害福祉サービスと介護福祉サービスについて解説しました。

もう一度、障がい者グループホームの入居可能年齢をまとめておくと、原則18歳以上で以下の障害を持つ方が対象です。

  • 身体障がい者
  • 知的障がい者
  • 精神障がい者(発達障がい者も含む)
  • 難病患者

さらに、年齢に上限はなく、認知症ではないもしくは身体障害と精神障害の両方を持つ65歳以上の方の場合は引き続き障がい者グループホームで生活が可能です。

また、障害福祉サービスと介護福祉サービスの違いについては、サービスの内容は類似しているものの、65歳以上になると介護保険を優先的に利用が勧められるため、介護福祉サービスの費用負担が問題に。

共生型サービスと新高額障害福祉サービス等給付費制度が施行されてからは、生活保護や低所得世帯に属する方の負担が軽減されるようになったので、継続してサービスが利用できます。

老後に不安を抱える障がい者の方は多いかもしれませんが、日本の福祉サービスでは費用の心配なく、受給が可能です。安心して福祉の恩恵を受けてみましょう。