障がい者グループホームでは、スタッフの補助を受けながら一般の人と同じような生活を送ります。そのなかでも、食事について気になる人も多いのではないでしょうか。

障がい者グループホームによって毎日の献立が異なります。これから入所を検討されている方のなかには以下のような疑問も。

「障がい者グループホームの食事提供の方法は?」

「利用者も調理しなければならないの?」

「毎日の食事代はいくらかかるの?」

そこで本記事では、障がい者グループホームの食事提供の方法について解説します。最後まで読んでいただくことで、献立の考え方、お食事メニューの例、食事代のイメージが膨らむでしょう。

障がい者グループホームとは?

 

障がい者グループホームとは、利用の際は「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかの障がい者手帳を持っている方が入所できる施設です。さらに障害支援区分の1~6に認定されていることが原則です。

基本的にスタッフからの支援を受けながら、少人数の利用者の方と共同生活を送ります。建物は施設によってさまざまですが、戸建てやマンションなど一般的な住宅を利用します。障がい者グループホームでは、一般の人たちと変わらない日常生活を送るため、施設に住みながら仕事へ行く人もいます。

利用者の方にとっては自宅のような場所です。食事や入浴の際にスタッフの支援を受けながら協力しあって暮らしています。施設を利用している人によっては日中の過ごし方は異なります。たとえば、平日は仕事や就労支援所に通勤したり、病院やデイケアに通う方もいます。

帰宅後は、食卓を囲んで夕食を楽しみ、入浴・睡眠するまで一般の人と同様の生活を送ります。利用者の方一人ひとりに個室が用意されており、食卓、トイレ、キッチン、風呂場は共同スペースとして使われます。他にも自治会の清掃活動に参加することで地域社会との交流も行います。


障がい者グループホームにおける食事の役割

障がい者グループホームのなかで、一般的にスタッフと利用者の方が当番制で一緒に食事作りをします。ただし、食事提供の方法は施設によって異なるので、見学のときに詳しく聞くのがおすすめです。他にも、外部の宅配サービスを利用している施設もあります。

たとえば、毎日の料理を宅配するサービスを利用することで、スタッフの負担を減らせるメリットがあります。利用者の方も複雑な調理をしなくても済むので、ストレスを減らせるでしょう。基本的には、一緒に調理することで、利用者の方の身体機能を支援する目的があります。

毎日の健康を維持するためにバランスの良い食事であることが重要です。食材選びの際は、栄養の偏りやカロリー不足に注意しながら調理を行います。ただ単に調理するだけでなく、協力しながら他人とのコミュニケーションが生まれるので、日常生活を楽しく過ごせるように考えられています。

障がい者グループホームのお食事メニューの決め方

障がい者グループホームの食事内容が気になる方も多いでしょう。基本的には、1日3食ですが、間食を提供する施設もあります。和食と洋食が取り入れられていることがほとんどです。たとえば、サンマの生姜煮や山菜そば、ハンバーグ、ナポリタンなど一般家庭で提供されるメニューと変わりません。

また、カップラーメンなど栄養に偏りのある食事の提供は少ないように思いますが、提供しているところもあるので、食事内容に制限はありません。利用者の方が偏りのない食事を作れるようになることで、将来的に自立した際に、バランスの良い料理ができるようになります。

基本的に利用者の方を主体に調理を行ってもらうので、スタッフは必要なときに支援する立場です。また、季節のイベントに合わせて、ケーキやおせち料理を用意する障がい者グループホームも存在します。見学の際に、食事の様子を見たり、実食できるのであれば、担当者に聞いてみてもいいかもしれません。

障がい者グループホームにおける献立の考え方

障がい者グループホームで提供される食事の献立は、バランスの良い食事と複雑な調理を必要としない手軽さが特徴です。食事には、毎日の健康のために炭水化物やタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをしっかり取り入れられています。

多くの施設では、農林水産省が推奨している食事バランスガイドを活用したり、食べやすさを重視して献立を作ります。主食のごはんやパン、パスタで炭水化物を取り入れ、肉や魚で脂質とタンパク質、野菜や果物でビタミンとミネラルを摂取できるような献立が考えられています。

特にビタミンとミネラルは、人間の身体のなかではほとんど生み出せない栄養素です。宅配サービスを利用している施設の場合は、湯せんや電子レンジで温めるだけの栄養バランスが取れた料理が食べられます。入所を検討している障がい者グループホームの食事内容が気になる人は、担当者に詳しく聞いてみるといいでしょう。

障がい者グループホームの食事作りは苦痛?

障がい者グループホームによってはスタッフと利用者の方が一緒に食事作りをします。しかし、料理経験が少ない方にとっては、苦痛に感じることもあるでしょう。障がい者グループホームでは、利用者の方が主体となって食事を楽しむことが基本的な考え方です。

自分で作った食事を他の人に食べてもらうことで、将来的な自立に向けて自信につながります。食事作り自体は難しくないため、利用者の方に必要な支援を受けながら調理ができます。特に男性は調理する機会が少ない傾向にあるので、最初は難しく感じるかもしれません。

献立を考えたり、レシピを考える過程をスタッフが担当することが多いため、調理器具があればできる状態から調理を始められるようにサポートする施設も存在します。最初から料理ができない場合でも慣れるとできるようになる方が多くいます。どうしても調理ができない場合は事前にスタッフに相談するといいでしょう。

障がい者グループホームの食事代


障がい者グループホームでは、毎日1日に3食の食事が提供されています。食事代は、おやつを含めて基本的に利用者の方に負担してもらいます。ただし、生活保護と低所得の非課税世帯に当てはまる人は、社会福祉制度を利用すれば、一定の金額が支給されます。支給額の範囲を超えなければ、自己負担は発生しません。障がい者グループホームの食費は、平均で4万円ぐらいに設定しているため、1日あたり1,300円ほどになります。食費は、食材費を指すため、スタッフなどの人件費は含まれません。

厚生労働省の告示では、以下のように規定されています。

○居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針(厚生労働省告示第四百十九号)

二 居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料
ロ 食事の提供に係る利用料
  食事の提供に係る利用料は、食材料費及び調理に係る費用に相当する額を基本とすること。

引用:厚生労働省

障がい者グループホームの選び方

これから障がい者グループホームに入所を検討されている方のなかには、選び方がわからない、何を基準に選ぶべきか迷う方も多くいるでしょう。入所先は1つに絞らずに、複数の施設に見学へ行くことがおすすめです。施設によっては雰囲気やスタッフとの相性が異なる場合があるので、じっくり検討するといいでしょう。

障がい者グループホームを選ぶときに確認したほうがいいポイントは「スタッフの雰囲気」「清潔さ」「食事時間」の3つです。これから長く住む場所のスタッフとは、毎日顔を合わせるので、スタッフ同士の雰囲気によって満足度が変わります。

利用者の方との会話の様子を見るといいでしょう。また、施設で提供される食事内容以外にも、食卓や食器の清潔さを確認すべきです。実際に自分が入所したあとに快適に食事を楽しめるイメージができるかどうかで決めてもいいでしょう。加えて、食事時間においてスタッフの利用者の方に対する補助の様子が良い雰囲気かどうかもチェックすべきポイントです。

まとめ

本記事では、障がい者グループホームの食事提供について解説しました。障がい者グループホームでは、基本的に1日3食で栄養バランスの良い食事ができます。利用者の方にとって食事は、食事自体を楽しみ、他の利用者の方やスタッフとの交流、調理によるリハビリの役割があります。今まで調理の経験が少ない方でもスタッフが必要なときに支援するので、食事を作る経験を積み重ねられます。

また、障がい者グループホームの食事代は、人件費を含まない食材料費を基本的に自己負担しなければなりません。しかし、生活保護や低所得世帯の方は、社会福祉制度で食事代まで支給してもらえるため、必要な方は入所を検討している施設の担当者に相談しましょう。